院長ブログ

痛みとは

2013.09.01

痛みとはいったい何なのでしょう?。このことを考えてはや20年になります。大学卒業後は整形外科医を目指していましたが、麻酔科の研修中に「痛みとは」という問いにぶつかってしまい、そのままペインクリニックの道を目指す事になりました。そして20年ですが、まだ答えがでません。このことを考えるときいつも思い出すのが、大学院の時に始めて行ったバンクバーでの国際学会の時のかの有名なDR Wallの講演でした。それは一言、「100年たっても痛みのメカニズムは解明されない」という内容でした。DR Wallですら解明出来ない問題を、我々が・・・・。医学の研究をしているときは、比較的ゆっくりした時間のなかで結論が出せたのですが、臨床の現場では今、目の前にいる患者さんにその理由をわかりやすく話さねばなりません。困った物です・・・。私が所属している国際疼痛学会(IASP)では、痛みを「組織の実質的・潜在的な損傷に伴う、あるいは損傷に関連する不快な感覚的・情動的体験」と定義しています。全く意味不明の単語の羅列です。これでは医療関係者もちんぷんかんぷんですね。私は医療関係者向けの講演の時には「感覚と情動を含んだ主観的な体験」と説明しています。これでもちんぷんかんぷんだと思います。一般の方には「いやな記憶」とお話しています。急性疼痛(ぎっくり腰や打撲、打ち身、ねんざ)はもちろんその部位の炎症が原因です。しかし慢性の痛み(長く困っている腰痛、肩こり、関節のいたみ)などは「いやな記憶」に他なりません。過去に長い腰痛で困られていた方がおられたとしましょう。その方は長い痛みで非常に体調を悪くされました。その後、自然に腰痛は治りました。その時点で脳は「腰痛=体調の悪さ」という具合に脳の中のネットワークで結びつけてしまい、記憶してしまうという事が医学的に証明されています。その方が全く別の原因で体調を悪くされたときに、その方の脳は「腰痛」というドアを開いてしまうのであろうと思っています。雨が降った日に腰が痛かったという経験が多かった場合に、脳は雨=腰痛という具合に記憶してしまうのでしょう。私の痛みの診療の根底にあるのは「徹底した体調管理」にほかなりません。(1)おいしくご飯が食べれて、(2)十分な睡眠がとれて(3)排便、排尿がスムーズという風になれば、いままで困っていた痛みも気にならなくなるのではないでしょうか?。まあこればっかりは結果がすべてなので何とも言えませんが・・・。